
中国で店舗・ホテル向け造作家具を製作する場合、出荷直前の完成品検品だけでは品質管理として不十分である。家具は完成すると内部の木地、補強材、接着、下地処理などが見えなくなるためだ。上海WMF 2026でもデジタル生産や自動加工が主要テーマとなっているが、自動化された工場であっても材料違いや図面違いを機械自身が判断してくれるとは限らない。日本側は工程ごとに確認点を設定する必要がある。
第一段階は材料受入で、板材、無垢材、突板、金物、石材、張地、接着剤などを承認BOMと照合する。第二段階は木取り・加工で、主要寸法、穴位置、木目方向、左右勝手を確認する。第三段階は仮組みで、扉や引き出しの動作、隙間、水平、金物位置を見る。大型カウンターなどは日本へ送る前に工場で組み立て、全体寸法を確認することが有効だ。
第四段階は塗装・仕上げ前後である。色はスマートフォン写真だけでは正確に判断できないため、承認色板を工場と日本側で一枚ずつ保管する。艶、木目、塗膜、エッジ処理なども基準化する。第五段階は梱包前検査で、数量、外観、付属金物、取扱説明、梱包ラベルを確認する。梱包後は製品が見えなくなるため、完成写真と梱包番号を紐付ける。
検品表には「良い」「悪い」という主観表現ではなく、寸法公差、傷の許容範囲、色差基準、ガタつき、部品数量など判定可能な条件を書く。AQLを利用する場合も、特注品では全数確認すべき重要寸法を別に設定する必要がある。中国家具調達で発生する損失は製品価格だけではなく、日本到着後の補修、再製作、施工遅延まで含む。工程検査に費用をかけることは、最終的なプロジェクト原価を守るための保険と考えるべきである。




