
中国でオリジナル家具をOEMする場合、量産前に完成させた承認サンプルを「ゴールデンサンプル」として品質基準にする方法が有効である。図面や文章だけでは表現しにくい色、艶、木目、手触り、クッション硬さなどを実物で固定できるため、ホテル家具、レストラン椅子、店舗什器など意匠品質が重要な製品ほど効果が大きい。
重要なのは、ゴールデンサンプルを単なる展示用サンプルにしないことだ。承認日、製品番号、図面改訂番号、材料、金物型番を記録し、日本側と工場側で同じ基準を共有する。可能なら同一条件のサンプルを2点製作し、1点を工場、1点を日本側で保管する。大型家具で保管が難しい場合は、色板、塗装板、張地、金物など主要部材を承認見本として残す。
色管理では「ウォールナット色」「ブラック」など名称だけでは不十分だ。塗装工程、艶、木地によって見え方が変わるため、実物見本と照合する。天然木突板では木目と色差を完全一致させることはできないので、許容範囲を事前に合意する。石材や天然皮革も同様である。
金物もゴールデンサンプルの一部として扱う。試作品には高品質な丁番を使用し、量産時に安価な代替品へ変更されると耐久性が変わる。メーカー、型番、仕上げをBOMへ記載し、代替には書面承認を必要とする。接着剤、塗料、ボードなど見えない材料も仕様書に固定する。
量産検品では検査員が承認サンプルまたは承認部材と比較できるようにする。写真だけでは艶や触感の差を判断しにくい。中国OEMで発生する多くの紛争は「良い・悪い」という主観の違いから生じる。ゴールデンサンプルはその主観を物理的な基準へ変える手段であり、価格交渉以上に品質安定へ効果を持つ。




