
中国から店舗什器、ホテル家具、建具、照明、タイルなどを輸入するとき、出荷前検品を「傷がないかを見る作業」だけにしてはいけない。建築・内装品は現場寸法や他部材との取り合いがあるため、外観が良好でも寸法や部品が違えば施工できない。特にオーダー品では一般的な完成品の抜取検査だけでは不十分で、設計情報と完成品を照合する工程が必要になる。
まず検品仕様書には、発注番号、製品番号、図面番号、承認サンプル番号を記載する。検査員が古い図面を見て検品する事故を防ぐため、最新版管理を徹底する。家具なら幅、高さ、奥行きだけでなく、棚位置、穴位置、金物、扉方向、脚、コンセント開口など施工に影響する寸法を重点項目にする。色や艶は承認サンプルと比較し、写真だけを基準にしない。
次に数量と梱包を確認する。ホテル100室分の家具では、一個の欠品でも特定客室の完成が遅れる。箱番号、部屋番号、製品番号を対応させ、梱包リストと現物ラベルが一致しているか確認する。ノックダウン家具ではネジや金物の数量、組立説明、予備部品も検査対象だ。石材・タイルは割れや欠けだけでなく、ロット、色差、予備数量を確認する。
不良判定については契約前に定義しておく必要がある。「品質が悪い」という表現では工場との責任協議が難しい。重大不良、主要不良、軽微不良を案件ごとに定義し、寸法公差や許容傷を図や写真で示す。建築特注品ではAQLの数値だけに頼らず、施工不能につながる重要項目について全数確認を指定することも検討すべきだ。
最後に、検品合格と船積み許可を連動させる。残金を全額支払った後に不良を発見すると交渉力が弱くなるため、契約段階で検品と支払い条件を設計することが重要である。品質管理は工場に任せる業務ではなく、日本側の設計条件を製造現場まで伝える仕組みである。出荷前検品を物流直前の儀式ではなく、図面承認から続く品質保証工程の最終確認として位置付けたい。





