
中国から店舗・ホテル用LED照明を輸入する際、「関税が無税だから輸入しやすい」と「日本でそのまま販売・使用できる」は分けて考える必要がある。税関の2026年実行関税率表では、例えばLED光源と専ら使用するよう設計された天井・壁掛け照明器具のHS9405.11など、多くの94.05項照明器具が無税となっている。一方、電気用品に該当する製品については電気用品安全法への対応が必要であり、税率と製品安全規制は別の審査軸である。
経済産業省によれば、電気用品・材料を輸入する事業者は対象となる場合、事業届出、技術基準への適合確認、自主検査等の義務を負い、該当製品を販売する際には必要なPSE表示が関係する。LEDランプは非特定電気用品の例として示されている。中国メーカーがCE、CCCなどの表示や試験報告書を持っていても、それだけで日本の電気用品安全法上の手続が完了するわけではない。まず輸入予定品が法令上どの電気用品に該当するのかを製品単位で確認する必要がある。
店舗案件では照明器具本体だけでなく、AC/DC電源、電源コード、プラグ、調光器など構成部品にも注意したい。中国側の見積書では一式商品として扱われていても、日本側の規制確認では構成を分けて確認する場面がある。OEMで日本向け仕様を作る場合は、量産前に電気仕様、定格、部品表を固定し、メーカーが電源ユニットなどを無断変更しない管理が重要になる。
さらに、照明は現場納期への影響が大きい。開業直前に適合確認の不足が判明すると代替品の手配が困難になるため、設計者が器具を選定した時点で輸入事業者と規制確認を開始するのが安全だ。関税率、PSE、電気仕様、施工方法を発注前に一枚のチェックシートへまとめると管理しやすい。
中国には店舗・ホテル向けの多様な照明メーカーが存在し、オリジナル寸法や仕上げを製作できることは大きな魅力である。そのメリットを生かすには、デザイン選定と法令確認を同時進行させる必要がある。「工場で点灯した」ことではなく、「日本で適法に輸入・販売・施工できる仕様になっているか」を調達の出発点にしたい。


