
中国では建材産業の低炭素化が制度面から加速している。国家市場監督管理総局によると、2026年6月末時点でグリーン建材認証取得企業は5725社、有効証書は1万1094件となった。政府の「グリーン建材産業高品質発展実施方案」では、2026年のグリーン建材年間売上高3000億元超、2024~2026年の年平均成長率10%以上、認証証書1万2000件などを目標としている。
規格面でも動きがある。GB/T 47096-2026「グリーン製品評価 セメント」とGB/T 47095-2026「グリーン製品評価 屋根瓦」が2026年8月1日に施行された。中国では製品性能だけでなく、原料、製造時エネルギー、環境負荷などを含めて評価する方向が鮮明になっている。また市場監督管理総局は、グリーン建材認証製品が年間3000万トン超の炭素削減効果を生むとの試算も示している。
日本の建材メーカーやデベロッパーにとって、中国の環境建材市場を見る意味は二つある。一つは、中国メーカーの生産設備更新によって、低炭素セメント、再生材料、無機系ボード、省エネ窓などの製品開発が加速する可能性があること。もう一つは、ホテルや商業施設で求められる環境情報の取得先として中国工場を評価しやすくなることである。
ただし、中国のグリーン認証を日本の環境認証や建築法規の代替として使用することはできない。調達では認証の有無だけでなく、対象工場、対象製品、証書番号、有効期間を確認し、実際に発注する型番が認証範囲に含まれているかを見る必要がある。OEM品では自社ブランド名に変更すると証明関係が分かりにくくなるため、元製品との対応表を残すべきだ。
さらに、日本側が建物のLCAやScope3算定を行う場合には、工場から原材料、エネルギー、輸送距離などの一次データを取得できるかも重要になる。中国のグリーン建材政策は「環境に良い商品」という宣伝材料ではなく、サプライヤーのデータ管理能力を比較する指標として利用する方が実務的である。


