
中国から建材や設備部品を輸入する際、日本側が確認すべき禁止物質の一つが石綿である。厚生労働省は労働安全衛生法に基づき石綿を含有する建材等の製造、輸入、譲渡、提供、使用を禁止する措置を案内してきた。現在の輸入実務では「新品だから石綿は入っていないだろう」という推測ではなく、サプライヤーから材料情報を取得して確認することが重要になる。
特に注意したいのは、完成品の主要材料ではなく副資材や部品である。繊維強化材、耐熱材、ガスケット、パッキン、摩擦材、接着剤など、外観から含有の有無を判断できない材料がある。建築設備や機械を一式輸入する場合、メーカーが主要構造だけを説明し、内部部品の材料を把握していないこともある。
日本企業は発注仕様書に石綿不使用を明記し、必要に応じて材料証明や試験資料を取得する。商社経由の場合でも実際の製造工場まで要求事項が伝わっているか確認する。サプライヤーが「asbestos free」と回答した場合、回答者、日付、対象型番を記録し、別製品の証明書を流用しない。
店舗内装では壁材、天井材、セメント系ボードなどが候補となり、ホテル設備では耐熱部品や機械部材も含まれる。中国の製品規格や輸出先によって材料仕様が異なる可能性があるため、「同じ商品名で欧州へ輸出している」という説明だけでは日本向け仕様の確認にならない。
輸入後に禁止物質が判明した場合、交換費用だけでなく施工済み材料の撤去や工程停止など影響が大きい。価格が安い無名メーカーほど危険という単純な話でもなく、材料管理体制の有無が重要である。工場監査では原材料受入記録と仕入先管理を確認し、契約では禁止物質違反時の責任を明確にする。日本で使用できない材料を入口で止めることが、最も安価なリスク対策になる。



