
中国から木製家具や造作什器を輸入する際、『木製品だから植物検疫が必要なのか』という質問は多い。植物防疫所は、製材、防腐木材、木工品、竹工品、家具什器等の高度に加工された製品について、輸入植物検疫の対象とならないものとして案内している。したがって完成した木製テーブルやキャビネットだから直ちに植物検査が必要になるわけではない。しかし、ここで見落とされやすいのが貨物を支える木製パレット、木箱、木枠などの木材こん包材である。
植物防疫所の輸入木材こん包材取扱要領は2026年5月25日にも改正されている。同要領では、貨物の保持、保護、運搬に使用するパレット、ダンネージ、木枠、こん包ブロック、ドラム、木箱、積載板、スキッド等の非加工木材について、国際基準ISPM15に適合した消毒と表示が重要になる。一方、接着剤、加熱加圧等によって作られた合板、パーティクルボード、ベニヤ板などの加工木材や、厚さ6mm以下の一定の材料などは未消毒木材こん包材の定義から除外されている。
中国家具工場へ発注する際は『輸出用梱包』という指示だけでは不足する。無垢材パレットや木枠を使用する場合、ISPM15に適合した処理済み材料を使用し、適切な表示を確認するよう発注書へ記載する。出荷前検品では家具本体だけでなく、木枠やパレットの表示写真も取得する。工場が家具製造を得意としていても輸出梱包は外部業者へ委託していることがあるため、梱包業者まで指示が伝わっているかを見る必要がある。
大型の石材、ガラス、洗面台、家具などは破損防止のため無垢材木枠を使用するケースが多い。製品本体が金属やセラミックでも、梱包に木材を使用すれば木材こん包材の問題が生じる。このため『木製家具ではないから関係ない』という判断も誤りである。特に複数工場の商品を一つの倉庫で混載する場合、工場ごとに異なる梱包材が使用されるため、集荷業者側で統一基準を設けたい。
一方、家具本体について植物検疫対象外であっても、日本の建築物へ固定する木質家具では建築基準法上のホルムアルデヒド規制など別の確認が必要になる。植物検疫対象外という事実は、建築法規や品質規格への適合を意味しない。
中国からの建材輸入では『商品』だけでなく『商品を運ぶ材料』も規制対象になり得る。梱包は最後に工場へ任せる作業ではなく、輸入仕様の一部である。ISPM15対応、強度、防湿、積載効率を発注段階で決めることで、通関リスクと輸送破損を同時に減らすことができる。




