
中国から家具や建材を輸入する際、多くの企業が『出荷前に検品すれば大丈夫』と考える。しかし造作家具、ドア、キッチン、照明などは完成後に確認できない部材が多く、最終検品だけでは品質保証として不十分である。塗装後には下地材を確認できず、家具を組み立てれば内部補強が見えず、梱包後には金物型番も確認しにくい。品質管理は完成品検査ではなく、製造工程を複数段階に分けて設計する必要がある。
最初のチェックポイントは材料入荷時である。MDF、合板、金属、石材、ガラス、金物などが承認仕様と一致するかを見る。メーカー名、型番、厚み、色、ロットを記録し、可能ならラベル写真を残す。特に日本の法規適合に関係する木質材料や電気部品は、量産途中で別ブランドへ変更されると完成後の証明が困難になる。『同等品使用可』という発注条件は価格調整には便利だが、品質管理では大きなリスクになる。
次が工程中検品である。木製家具なら木地完成時、金属家具なら溶接・研磨後、塗装前など、仕上げで隠れる前に確認する。寸法、内部補強、穴位置、接合方法を図面と照合する。造作家具では現場取付用の下地位置が数センチずれるだけで施工不能になるため、意匠面より先に施工寸法を確認する方が重要だ。ホテルの大量家具なら初回5~10台程度を先行製作し、問題を修正してから本量産へ移る方法が有効である。
出荷前検品では外観、数量、寸法、機能、梱包を確認する。外観基準は『傷がないこと』では曖昧なので、検査距離、照明条件、許容欠点をサンプルで決める。家具なら扉・引き出しを全数または設定したサンプリング率で作動確認し、照明なら点灯、色温度、付属品を確認する。梱包検査では箱の強度だけでなく、角保護、防湿、木枠、パレット、荷姿寸法を見る。
検品で不良を発見した際の処理も契約前に決めておきたい。再加工、再製作、値引きのどれを選択するか、誰が追加検品費や納期遅延費用を負担するかを明確にする。残金100%を出荷前に支払う条件では、不良発見後の交渉力が弱くなるため、支払条件と検品合格を連動させる方法も検討できる。
中国工場の品質は国籍ではなく、仕様と管理方法で大きく変わる。優秀な工場でも曖昧な図面から日本側の意図を推測することはできない。承認図、BOM、マスターサンプル、工程中検品、出荷前検品を一つの仕組みにすることが、中国製家具・建材をプロジェクト品質へ引き上げる最も現実的な方法である。




