
中国からタイル、洗面器、装飾用陶磁器、食器などを輸入する場合、『セラミック製品』という一括した商品名で通関を考えるのは危険である。日本税関の2026年8月1日版実行関税率表では、第69類に陶磁製品が分類されているが、れんが、建築用タイル、衛生陶器、食卓用品、装飾品などでHS番号と関税率が分かれる。例えば69.01のけいそう土等から製造したれんが・ブロック・タイル等は無税とされる一方、6912.00の磁器以外の陶磁製食卓用品・台所用品等はWTO協定税率2.3%、RCEP中国税率1%などが示されている。つまり『中国製陶磁器の関税は何%か』という質問には、品目を特定しなければ答えられない。
店舗・ホテル案件では、一つのコンテナに床タイル、壁タイル、装飾オブジェ、洗面ボウル、食器を混載することがある。中国側インボイスにすべてCERAMIC PRODUCTSと記載すると、日本側で正しい分類を判断するため追加資料を求められる可能性がある。発注段階から商品ごとに用途、材質、製造方法、寸法、写真、カタログを整理し、必要に応じて通関業者や税関の事前教示制度を利用する方が安全である。
RCEP税率を利用する場合もHSコードだけでは終わらない。貨物がRCEP上の原産品であることを原産地規則に基づいて確認し、必要な原産地証明を準備する必要がある。日本への輸入ではRCEPの輸入者自己申告制度も利用可能だが、税関は輸入者が原産品であることを証明する十分な情報を有する場合に限って申告書を作成できるとしている。原産品申告書に加えて、原産性を明らかにする資料が必要になるため、『中国から出荷されたから中国原産』という理解では不十分である。
タイルの調達では税率以上に品質ロット管理が重要だ。色調、寸法、反り、吸水率、表面仕上げはロットで差が出る可能性があり、店舗の追加工事で半年後に同じ品番を注文しても色が合わないことがある。初回発注時に補修用在庫を含めて数量を決め、箱ごとのロット番号を記録する。天然石とセラミックを組み合わせた製品は材質構成が分類判断に影響する可能性もあるため、複合材は断面構造まで資料化したい。
中国は佛山など世界有数のセラミック産業集積を持ち、価格とデザインの選択肢は大きい。しかし日本到着原価を正しく算定するには、商品価格だけでなくHS分類、適用税率、RCEP原産性、梱包重量、海上運賃、破損リスクを一体で管理する必要がある。輸入前の分類確認こそ、タイル・陶磁器調達で予想外のコストを防ぐ最も基本的な作業である。




