
中国工場へ造作家具や店舗什器をOEM発注する場合、売買契約書に商品名、数量、価格だけを書いても品質紛争を十分に防げない。特注品では「何を作る契約だったか」を客観的に示す資料が必要だからである。設計図、施工図、BOM、仕上表、承認サンプル、検品基準書を契約またはPOの付属資料として番号管理する方法が実務的である。
特に重要なのが図面の改訂管理だ。店舗案件では現場条件やデザイン変更によって図面が何度も更新される。工場がRev.2、日本側がRev.4を見ていた場合、完成後にどちらの責任かを判断するのは難しい。図面番号、改訂番号、承認日を記録し、「量産に使用できるのは双方承認済み最新版のみ」と明記する。旧版は工場側システムから無効化する。
BOMには基材、表面材、金物、接着剤、塗装など主要材料を記載する。中国工場が納期確保のため同等品へ変更することを防ぐため、指定材料の変更には書面承認を要求する。色や艶など文章で定義しにくい要素は承認サンプルを基準にする。双方が同一サンプルを保管すれば、出荷前検品で比較できる。
さらに不良時の処理を事前に決める。再製作、補修、値引き、次回相殺のどれを選ぶか、納期遅延が開業日へ影響した場合どう扱うかを契約で整理する。準拠法、紛争解決、言語の優先順位も重要である。中国OEMでは関係性を重視して契約を簡略化しがちだが、詳細仕様を文書化することは相手を疑うためではなく、営業、設計、生産、QCの認識を一致させるための道具である。契約書と技術資料を一体管理することで、品質問題の多くを製造前に防止できる。


