
中国建材調達で最も多い判断ミスの一つは、工場のFOB単価だけを日本製品や他社見積と比較することである。実際に日本の現場へ届くまでには、中国国内輸送、輸出関連費用、海上運賃、保険、関税、輸入消費税、港湾費、通関、デバンニング、日本国内配送など複数の費用が発生する。さらにドル・人民元建ての場合は為替変動も原価へ影響する。
日本税関の関税評価では、原則として現実支払価格に輸入港までの運賃・保険料等の加算要素を加えて課税価格を計算する。HSコードによって関税率が異なり、RCEPを利用できる品目では原産地条件を満たせば協定税率を適用できる場合がある。このため商品ごとにHS、通常税率、RCEP税率を管理することが必要になる。
社内ではLanded Cost Sheetを標準化するとよい。列には商品番号、数量、工場単価、通貨、為替レート、中国国内費、国際運賃、保険、課税価格、関税、輸入消費税、国内物流、検品費、予備品、不良率想定を設ける。ホテル家具のように複数商品を1コンテナへ積む場合は、物流費をCBMまたは重量など合理的な基準で各商品へ配賦する。
さらに「予定原価」と「実績原価」を分けて保存する。案件終了後に海上運賃、為替、破損、追加配送が予算からどれだけずれたかを分析すれば、次回見積の精度が上がる。中国調達の競争力は単純な工場価格差ではなく、設計自由度、量産能力、物流効率を含む総合コストで決まる。日本の建築・内装会社が継続的に中国を活用するなら、個人の経験ではなく着地原価を数値化する仕組みを社内資産として持つことが重要である。




