
ホテル、飲食店、アパレル店舗などで中国の造作家具を使う案件が増える一方、「図面通りに作ったのに日本で使えない」というトラブルは少なくない。原因の多くは、発注図に外形寸法は書かれていても、基材や接着剤、塗料、ホルムアルデヒド性能、金物の型番まで固定されていないことにある。中国工場にとって図面通りとは寸法や形状を意味する場合があり、内部材料は同等品へ変更できると理解されることもある。日本側は「同等品不可」とする項目と、承認を得れば変更できる項目を明確に分ける必要がある。
特に建物へ固定する造り付け家具やキッチンキャビネットでは、日本の建築基準法に基づくホルムアルデヒド規制に注意したい。国土交通省は、告示対象建築材料を使用した造り付け家具やキッチンキャビネット等も規制対象になり得ることを明示している。F☆☆☆☆等級の建築材料は使用面積の制限を受けないが、中国のE0、ENFなど別制度の表示が、そのまま日本のF☆☆☆☆を意味するわけではない。材料メーカー、品番、証明資料を設計者が確認できる状態にしておく必要がある。
量産管理では、ゴールデンサンプルを1台完成させ、実物または詳細写真、色番号、木目方向、エッジ処理、金物、引出しクリアランスを承認してから全数生産へ入る。ホテル100室分なら、最初の10室分を生産した時点で中間検品を行えば、誤りを100室へ拡大させずに済む。輸送中の傷を防ぐため、角当て、発泡材、外箱、木枠の基準も契約仕様に含めるべきだ。
中国民法典の売買契約規定では、名称、数量、品質、価格、履行期限、包装、検査基準・方法などが契約内容として挙げられ、買主には約定した検査期間内に品質不適合を通知する仕組みがある。国際取引では中国法だけで処理するとは限らないが、検品期限を契約書に書く重要性は共通している。「日本到着後に確認する」だけでは、工場出荷から数週間が経過する。中国出荷前検品、到着時外観検品、施工後機能確認の三段階を契約上分けておけば、責任範囲が明確になる。オーダー家具の品質は職人技だけでなく、発注側が仕様をどこまで言語化できるかで決まる。
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