
中国建材・家具の輸入では、人民元、米ドル、日本円のいずれで価格を提示するかがサプライヤーによって異なる。日本企業は「ドル建てなら国際取引だから分かりやすい」と考えがちだが、中国工場の実際の人件費や材料費の多くは人民元で発生する。工場がドル建て見積を出す場合、その価格には工場側が想定した人民元・ドル為替が反映されている可能性がある。
日本側ではさらに円・ドルまたは円・人民元の変動が加わる。ホテルなど長期案件では見積時と前金、残金支払い時が数カ月離れるため、円安が進むと日本円原価が増える。まず契約通貨、見積有効期限、支払時期を一覧化し、案件ごとの外貨エクスポージャーを把握することが基本となる。
価格交渉では工場へ複数通貨の見積を依頼し、単純換算との差を見る方法もある。ただし送金手数料、銀行の為替スプレッド、工場側の通貨受取条件を含めて比較する。日本円建てを提示する工場でも、為替変動時に再見積条項があれば完全な円固定ではないため契約条件を確認する。
また支払条件によって為替リスク期間が変わる。前金30%を契約時、残金70%を3カ月後に支払う場合、残金部分の為替リスクが残る。大型案件では社内で想定為替レートと警戒水準を設定し、一定以上動いた場合の対応を決めるとよい。中国調達の価格比較では工場提示単価だけでなく、決済通貨、支払時期、為替、銀行費用を含めた日本円着地原価で比較する必要がある。為替管理は財務部門だけの問題ではなく、仕入価格を守る調達実務そのものである。


