
中国工業情報化部など6部門が策定した「建材業界安定成長工作方案(2025―2026年)」は2026年が対象期間の最終年となる。政策は工業情報化部、自然資源部、生態環境部、住宅都市農村建設部、水利部、農業農村部が共同で発出しており、建材産業の安定成長と構造転換を同時に進める位置付けである。中国建材市場を見る際は、不動産開発だけではなく、既存建築改修、グリーン化、設備更新、高性能材料などへの需要移動を見る必要がある。
日本企業に直接関係するのは、中国メーカーの競争軸が「大量生産と低価格」だけではなくなっていることだ。家具・内装材でもCNC加工、自動塗装、デジタル設計、少量多品種生産、環境対応材料などへの設備投資が進む。ホテルやブランド店舗向けでは、価格だけで工場を選ぶより、図面管理、試作、材料トレーサビリティ、表面仕上げ、検査記録を扱える工場の価値が高くなる。
一方、産業政策があるから個別メーカーの品質が保証されるわけではない。中国には大規模メーカーから小規模加工場まで幅広い企業が存在し、同じ製品名でも設備、材料管理、検査能力に大きな差がある。政策資料は市場の方向を把握するために使い、個別発注では工場監査とサンプル承認を別途実施する必要がある。
店舗内装会社が造作家具を発注する場合、設備台数や工場面積だけを見るのではなく、図面からBOMへの展開方法、NCデータ管理、色サンプル管理、金物受入検査、完成品検査、梱包工程まで確認したい。石材なら採石・スラブ調達と加工の関係、タイルならロット色差、照明なら電源部品と日本法規への対応がポイントになる。
中国建材産業が高付加価値化へ動くほど、日本企業にとって調達先の選択肢は増える。ただし、安価な標準品と高品質なプロジェクト対応品の価格差も広がりやすい。2026年の中国調達では、単価表だけを比較するのではなく、工場の得意分野、設備、品質保証、法規資料、輸出経験を含む総合評価へ移行することが重要である。



