
中国メーカーから建材や家具を調達すると、人民元建てと米ドル建ての両方で見積を提示されることがある。日本企業はその日の為替レートで円換算し、安い方を選びたくなるが、実務では通貨以外の条件が同じかを確認しなければならない。中国国内販売価格と輸出価格では税務、梱包、輸出書類、港までの費用など前提が異なる場合があるためである。
最初にEXW、FOBなど貿易条件を統一する。人民元価格が工場渡し、ドル価格がFOB上海なら単純比較できない。輸出梱包、国内運送、通関関連費用を同じ範囲へ揃える必要がある。次に見積有効期限を確認する。為替変動が大きい時期には工場がドル建て価格へ短い有効期限を設定する場合がある。
日本銀行は日々の外国為替市況を公表しており、社内の原価計算では客観的な基準レートを決めておくとよい。案件ごとに担当者が異なるレートを使用すると見積比較ができなくなる。さらに発注から残金支払まで数カ月ある造作家具案件では、契約時レートだけでなく支払予定日の為替リスクを考える。
価格交渉では「ドルでいくら下げられるか」だけでなく、材料価格変動時に誰が為替リスクを負担するかを確認する。工場が人民元で原材料を購入している場合、ドル建て契約では工場側も為替リスクを価格へ織り込む可能性がある。
最終的には送金手数料、為替スプレッド、貿易条件を含めた円ベースの着地原価で比較する。通貨選択は投機ではなく、発注から支払までのコストを予測可能にするための購買管理として考えることが重要である。





