
中国工場へオーダー家具や店舗什器を発注する際、トラブルの多くは製造技術そのものより「何を作るかの合意」が曖昧な状態で量産を始めることから発生する。日本側がイメージ写真と外形寸法だけを送り、中国側が経験に基づいて内部構造や材料を決める方式では、完成後に「想定していた仕様と違う」という問題が起きやすい。
量産前に最低限固定したいのは、外形寸法、基材、表面材、木目方向、色、塗装仕様、金物、石材・ガラス、電装部品、梱包方法である。例えば同じ「ウォールナット仕上げ」でも、無垢材、突板、メラミン化粧板では価格も質感も異なる。塗装も艶の程度によって印象が変わるため、文章だけでなく承認サンプルを基準にする必要がある。
図面管理では版番号が重要だ。R1、R2、R3など改訂履歴を残し、最終承認版以外で生産しない仕組みにする。WeChatなどのチャットで部分的な変更指示を繰り返すと、工場の設計担当と生産担当で認識がずれる。変更内容は最終図面へ反映し、日本側が「Approved for Production」として承認してから量産へ移行する方法が安全である。
金物についても「同等品可」を安易に認めない。ヒンジ、スライドレール、キャスター、取手などは家具の使用感と耐久性に直結する。指定ブランドを使う場合は品番まで記載し、中国ブランドを採用する場合でもサンプル段階で動作、耐荷重、交換部品の入手性を確認したい。LEDを組み込む什器では、家具の仕様確認に加えて日本の電気用品安全法の対象となる部品・製品が含まれないかも別途確認する必要がある。
最後に見落とされやすいのが梱包図である。工場で完成した家具が良品でも、輸送中に角が潰れたり石材が割れたりすれば現場では使えない。完成品寸法、梱包後寸法、重量、重心、フォークリフト位置、天地表示を確認し、必要に応じて木箱や補強材を指定する。中国オーダー家具は製造前の情報管理を徹底するほど、日本現場での修正作業を減らし、その価格競争力を生かしやすくなる。
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