
中国でオーダー家具を発注する際、同じ図面を3工場へ送ったのに価格が大きく違うことは珍しくない。理由の一つは、図面に外形寸法しか記載されておらず、工場がそれぞれ異なる材料と製造方法を前提に見積を作っているためである。最安値を選んだ後で仕様を詰めると追加費用が発生し、結果として高くなるケースもある。
第一に指定すべきは材料構成である。「木製」「MDF」だけでは不十分で、基材の種類と厚さ、表面材、突板樹種、化粧板品番、裏面処理まで記載する。カウンター天板なら天然石、人工石、セラミックなどを明確にし、天然材料では色差や柄の許容範囲も決める。中国語名称だけでなく、写真と材料サンプル番号を併用すると誤解が減る。
第二は金物だ。ヒンジ、スライドレール、取手、アジャスター、キャスターなどは家具の使用感と耐久性を大きく左右する。ブランド指定する場合は型番まで記載し、「同等品可」とする場合でも承認なしで変更できない条件を付ける。ホテルや店舗では故障時の交換を考え、日本で調達可能な規格を選ぶことも重要である。
第三は塗装と表面仕上げ。艶消しという表現だけでは工場ごとに仕上がりが異なる。色番号、艶度、木目方向、エッジ処理を承認サンプルで固定し、量産前にマスターサンプルへ署名する。天然突板では色差を完全になくせないため、許容できる範囲を現物で合意する。
第四は梱包である。日本まで輸送する家具では、工場出荷時の品質だけでなく、海上輸送後に無傷で到着することが製品品質の一部となる。角当て、発泡材、段ボール、木枠の必要性を製品ごとに決め、ガラスや石材は家具本体と分離するかも検討する。木製梱包材を使用する場合にはISPM15への適合確認も必要になる。
なお、家具そのものは日本の関税分類上、第94.03項に分類されるものが多く、2026年の輸入統計品目表では事務所用金属家具、木製事務所家具、木製台所家具など多くの品目が無税となっている。ただし家具に照明や電気部品を組み込む場合には別の規制確認が必要になることがある。
比較見積では「同じ図面」ではなく「同じ仕様」を各工場へ渡すことが重要である。それだけで価格差の理由が見えるようになり、発注後の追加請求や品質トラブルを大幅に減らせる。
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