
中国から日本へ建材や家具を輸入する際、RCEPを利用すれば関税を削減できる品目がある。しかし「中国の港から出荷された商品だから中国原産品」という理解は危険である。EPAの特恵税率を適用するためには、対象貨物が協定上の原産地規則を満たし、必要な証明手続を行う必要がある。
日本税関によれば、RCEPでは日本への輸入について輸入者自己申告制度を利用できる。輸入者が貨物を原産品であると証明する十分な情報を持っている場合、自ら原産品申告書を作成できる。申告書は必要的記載事項を含む任意様式で作成できるが、英語での作成が必要とされている。また日本では原産品申告書に加え、原産性を説明する資料が必要になる。
税関が例示する関係資料には契約書、価格表、総部品表、製造工程表などがある。つまり輸入者自己申告は「輸入会社が中国製だと宣言すればよい」という簡易制度ではない。製品がどこで、どの材料を使い、どの工程で製造されたかを説明できる情報が前提となる。
建材では特に注意したい。中国の家具工場がベトナムなどから部材を仕入れて中国で組み立てる場合、石材工場が第三国原産の原石を加工する場合、照明メーカーが海外製部品を多く使用する場合など、品目別原産地規則に照らした確認が必要になる。中国企業から購入したという商流上の事実と、RCEP上の原産国は同じ概念ではない。
一方、一般家具のHS94.03のように日本の通常税率自体が無税となる品目では、RCEPを利用しても関税削減効果がない場合がある。すべての中国輸入品で原産地証明を取得するのではなく、まずHSコードと通常税率、RCEP税率を比較し、利用メリットがあるか確認する方が合理的だ。
契約時には、RCEPを利用する予定の品目について工場に原産地資料の提供義務を課し、材料変更時には通知させる。税関の事後確認に備え、インボイスだけでなくBOMや製造工程資料を案件ごとに保存することも重要である。
RCEPは中国調達のコスト削減手段だが、原産地確認を省略できる制度ではない。HS分類、税率、品目別原産地規則、証明資料を発注前に一体で確認することが、輸入後の追徴や説明不能リスクを減らす。
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