
中国との建材・家具取引では、品質問題の多くが製造技術ではなく契約の曖昧さから発生する。中国では2025年12月に改正された対外貿易法が2026年3月1日に施行され、貨物・技術・サービス貿易、知的財産、貿易秩序などを含む制度体系が更新された。通常の家具輸入で法律の全条文を日々意識する必要はないが、中国の貿易制度そのものが変化していることを前提に、輸出可否、決済、知財、契約を案件ごとに確認する姿勢が必要である。
実際のトラブル防止で最も重要なのは売買契約だ。中国民法典は売買契約の一般的内容として、商品名、数量、品質、価格、履行期限、場所、方法、包装、検査基準・方法、決済方法などを挙げている。ところが日本企業が中国工場へ発注する際には、WeChatの会話、見積書、PDF図面、送金記録だけで大型案件が進むことがある。これでは不良が発生したとき、どの資料が最終仕様なのか争いになりやすい。
家具・建材では契約書に少なくとも最終図面番号、材料表、色、許容差、承認サンプル、包装、検品方法、納期、インコタームズ、支払条件、不良時の処理を記載したい。仕様変更は口頭で認めず、双方が確認できる変更書を残す。支払についても全額前払いを避け、契約金、量産開始、中間検品、出荷前検品など工程と連動させる方法がある。L/Cが適する大型標準品もあれば、OEM家具のようにT/T分割払いが実務的な案件もあり、取引内容によって設計するべきだ。
中国国家外貨管理局は2026年7月、対外貿易支援のため外貨決済利便化策を公表し、一定の優良企業について貿易収支や運賃、保険、倉庫費などのネッティング対象を拡大した。制度は便利になる方向だが、日本側が第三者口座への送金や契約と異なる名義の支払いを安易に受け入れてよいという意味ではない。請求会社、契約会社、銀行口座名義が一致するかを毎回確認したい。中国調達のリスク管理は「信用できる社長を見つける」ことではなく、信用に依存しなくても取引できる仕組みを作ることだ。図面、検品、支払、物流を一つの契約体系へまとめれば、価格競争力の高い中国工場をより安全に活用できる。
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