
中国製建材を日本へ輸入する際、最も危険な誤解は「税関を通関できれば日本で使用できる」と考えることだ。税関手続と建築・製品規制は別であり、商品によって複数の法律が重なる。店舗、ホテル、飲食店で中国調達を行う担当者が最低限確認したいのは、防火材料、ホルムアルデヒド、電気用品安全法、食品衛生法、植物検疫の五つである。
第一は建築基準法の内装制限だ。飲食店、ホテル、物販店などでは用途や規模等によって壁・天井に難燃、準不燃、不燃材料が求められる。中国の防火等級の試験報告があっても、日本の告示仕様や大臣認定を自動的に満たすわけではない。第二はホルムアルデヒドで、国土交通省は告示対象材料を用いた造り付け家具やキッチンキャビネットも規制対象になり得ることを示している。中国のE0、ENF等級とF☆☆☆☆を同一視しないことが重要だ。
第三は照明、コンセント付き家具、電源装置などの電気用品安全法である。経済産業省は対象品目や解釈例を公開しているため、完成品の状態で対象かを確認する。第四は食品衛生法で、飲食店用食器、調理器具、食品接触容器などを営業用に輸入する場合は輸入届出が必要となる。第五は植物検疫だ。高度に加工された製材、木工品、家具什器等は植物検疫対象外とされる一方、未加工木材や梱包用木材には別のルールがあり、木材こん包材ではISPM15への適合が重要になる。
この五つはすべての建材へ適用されるわけではなく、用途と構造によって対象が変わる。したがって輸入担当者が一人で「これは家具だから大丈夫」と決めるのではなく、発注前に製品台帳を作り、設計者、通関業者、必要に応じて行政窓口へ確認する方法が安全だ。台帳には品名、写真、用途、材質、電源有無、食品接触有無、建物への固定方法、HSコード候補、必要証明書を記載する。中国から一棟分・一店舗分をまとめて調達する案件ほど、この事前仕分けが大きな効果を持つ。安い材料を見つけてから法規を確認するのではなく、日本で使える条件を決めてから中国で探す。この順序が輸入規制による手戻りを最小化する。
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