
中国メーカーから建材や家具のFOB見積を取得した際、その金額に関税率を掛ければ輸入関税が計算できると考えるのは正確ではない。日本の関税定率法では、輸入貨物の課税価格は原則として現実に支払われた、または支払われるべき価格に、含まれていない一定の加算要素を加えた取引価格を基礎とする。税関資料では、輸入港までの運賃、保険料、その他運送に関連する費用などが加算要素として示されている。
中国建材では商品代金に対して海上輸送費の比率が大きくなるケースがある。特に安価で重量のあるタイル、石材、ガラスや、容積の大きい家具では、FOB単価が安くても輸送費を含めた課税価格が上がる。したがって仕入比較は工場価格ではなく、関税、輸入消費税、通関、港湾費用、国内配送まで含めたランドコストで行う必要がある。
さらにRCEPを利用できる品目では、中国原産品に設定された特恵税率を検討できる。ただし、中国から出荷された商品であることとRCEP上の中国原産品であることは同じではない。品目ごとの原産地規則を満たし、必要な原産地証明を準備する必要がある。日本への輸入では輸入者自己申告制度も利用できるが、輸入者が原産性を証明できる十分な情報を持つことが条件で、原産品申告書に加え、必要に応じて契約書、価格表、部品表、製造工程表など原産性を説明する資料を準備する。
建材ではHS分類が原産地規則と税率の両方を左右する。家具は第94類、木材・木製品は第44類、陶磁製品は第69類、ガラスは第70類などが中心となるが、複合製品は用途、材質、構造によって分類が変わる。商品名だけで判断せず、仕様書、材料構成、写真、製造方法を整理することが必要である。
大量輸入を継続する商品で分類が不明確な場合、税関の事前教示制度を利用すると原価計算の精度を高められる。中国調達では数%の仕入価格差を交渉する一方、HS分類やRCEPを確認しないケースもある。工場価格、物流、課税価格、関税率、原産地を一つの原価表で管理することが、建材輸入の利益管理には不可欠である。




