
中国の展示会や建材市場では、木質パネル、吸音材、樹脂パネル、壁面装飾材などに『A級防火』『難燃』『不燃』と表示された製品が多数販売されている。しかし、日本の店舗やホテルへ採用する場合、中国側の防火試験結果だけで施工可能と判断してはいけない。日本の建築基準法では不燃材料、準不燃材料、難燃材料について性能基準が定められ、国土交通省の資料では不燃材料は通常の火災による火熱に対して20分、準不燃材料は10分、難燃材料は5分の性能を求める体系となっている。
国土交通省が公開する構造方法等の認定情報では、防火材料の認定番号として不燃材料にNM、準不燃材料にQM、難燃材料にRMなどの区分が示されている。告示で仕様が定められた材料のほか、大臣認定を取得した材料がある。中国工場から英語や中国語の試験レポートを受け取っても、その試験規格と日本の認定制度は別であり、『中国で不燃=日本でもNM』という置き換えはできない。
実務で最初に行うべきなのは、材料を選んだ後に認定を探すことではなく、設計場所の要求性能を先に確定することである。飲食店の壁面、ホテル廊下、商業施設の共用部など、用途、規模、建物条件によって内装制限が関係する。設計者が必要性能を決め、その条件を満たす材料だけを中国側へ探させる方が効率的だ。メーカーへは日本で有効な認定番号の有無、認定取得者、商品名、基材、厚み、表面仕上げを確認し、認定内容と実際に輸入する製品仕様が一致しているかを照合する。
特に注意したいのが、認定品と似た別仕様を購入するケースだ。同じメーカー、同じシリーズ名でも、基材厚み、化粧シート、接着剤、塗装などが異なれば認定範囲外となる可能性がある。OEMで色や表面材を変更する場合も、変更後仕様が認定条件に含まれるかを確認しなければならない。『工場が同じだから大丈夫』ではなく、認定書に記載された構成と納入品の一致を見ることが基本となる。
2026年3月には国土交通省が防火材料の安全性向上に関するガイドラインを公表しており、防火性能の確認は今後も重要な品質テーマである。中国製内装材はデザインと価格の選択肢が非常に広いが、日本で使えなければ商品価値はない。設計会社、輸入会社、施工会社が発注前に要求性能を共有し、認定番号、材料構成、製造ロットを追跡できる状態を作ることが、海外内装材を安全に採用するための最低条件となる。




