
中国から家具、タイル、内装材などを輸入する際、RCEPを使えば関税が下がると説明されることがある。しかし実務では「中国製だからRCEP税率」という判断はできない。日本税関は、まず対象貨物のHSコードと細分を確認し、その品目について中国向けRCEP譲許税率が設定されているかを確認し、さらにRCEP上の原産品であることを確認するという手順を示している。
第一段階はHS分類である。家具は第94類、陶磁製品は第69類などが中心になるが、材質、用途、構造で分類が変わる。例えば一般的な木製家具の多くはもともと無税であり、RCEPを利用しても関税メリットが生じない場合がある。一方、陶磁製品などは品目によってWTO税率とRCEP税率に差がある。EPA書類を作る前に、そもそも利用する経済的意味があるかを確認するべきだ。
第二段階は原産地規則である。「中国の工場から発送された」ことと「RCEP上の中国原産品」であることは同じではない。第三国材料を使った製品では品目別原産地規則を満たす必要がある。特に複合家具、照明、スマート設備など多数の部品から構成される製品では、工場に原材料情報を確認できる体制があるかが重要になる。
日本への輸入では、RCEPの輸入者自己申告制度も利用できる。税関によれば、輸入者が原産品であることを証明する十分な情報を持つ場合、必要事項を記載した原産品申告書を作成できる。ただし日本では原産品申告書に加えて、契約書、価格表、総部品表、製造工程表など、原産性を説明する資料が必要となる場合がある。単にインボイスへ「Made in China」と書くだけでは足りない。
実務では見積依頼時点でHS候補、通常税率、RCEP税率、年間輸入額を並べ、RCEP利用による節税額と書類作成コストを比較する。分類が不明確なら税関の事前教示制度を利用できる。中国調達でRCEPを有効活用するポイントは、発注後に原産地証明を依頼することではなく、商品設計と工場選定の段階から原産地情報を取得できるサプライヤーを選ぶことである。




