
中国建材・家具のOEM取引ではT/Tによる前金と残金払いが広く使われる。商談では「30%前金、70%出荷前」といった条件が提示されることがあるが、重要なのは比率そのものではなく、残金支払いの条件を何にするかである。単に「完成したら70%」では、完成判定を誰が行うのか、不良が見つかった場合に修正完了まで支払いを留保できるのかが不明確になる。
日本側に有利なのは、量産完了後の検品と是正確認を支払条件へ組み込む方法である。例えば製品完成→第三者または自社検品→不適合是正→再確認→残金支払い→船積みという順序を契約で明確にする。工場側が残金受領前の船積みに応じない場合でも、少なくとも「検品合格」を支払いトリガーに設定すれば交渉力を維持できる。
造作家具では発注後の仕様変更が発生しやすいため、追加費用も書面化する。WeChat上で変更を依頼しただけでは、最終請求時に認識が食い違うことがある。変更番号、変更内容、増減額、納期影響を記載したChange Orderを作り、双方承認後に製造へ反映する。支払先口座が途中で変更された場合は、メールだけを信用せず、既知の担当者と別経路で確認することも送金詐欺対策として重要だ。
また人民元、米ドル、日本円のどの通貨で契約するかによって為替リスクの負担者が変わる。長期案件では見積日と支払日が数カ月離れるため、価格固定期間と為替変動時の再交渉条件を確認する。中国調達では安い価格を獲得すること以上に、代金を支払った後も工場に不良是正を実行させられる契約構造を作ることが重要である。支払い条件は財務条件ではなく、品質管理の一部として設計したい。




