
中国でオーダー家具、照明、金物、建材をOEM生産するとき、輸入申告の課税価格を単純に工場インボイスの製品代金だけと考えると誤る場合がある。税関の関税評価制度では、輸入取引価格に一定の加算要素を加えて課税価格を決定する仕組みがあり、買手が輸入貨物の生産に使用する金型を無償提供するケースや、生産に必要なデザインを無償提供するケースについて具体的な評価事例が公開されている。ロイヤルティ等についても条件により検討対象となる。
建築・内装業界ではこの論点が起きやすい。例えば日本の設計会社が独自に設計した照明器具を中国工場へ製造委託し、日本側が別会社で製作した専用金型を工場へ無償支給するケースがある。あるいは家具製造に必要なデザインや技術情報を提供する場合もある。工場から届くCommercial Invoiceには完成品代だけが記載されていても、それだけで課税価格が確定するとは限らない。
そのためOEM契約を始める段階で、商品代、金型費、設計費、ライセンス料、検査費、輸送費など費用項目を整理しておくことが重要である。どの費用が誰から誰へ支払われ、輸入貨物の生産・販売とどのような関係にあるかを記録する。後から税関へ説明する必要が生じたとき、チャット履歴しか残っていない状態は避けたい。契約書、PO、請求書、送金記録を案件番号で関連付けて保存する。
また、中国工場が提示するFOB価格と日本側の課税価格は同じ概念ではない。インコタームズは費用・危険負担の分担を定める取引条件であり、日本の関税評価制度による課税価格の判断を置き換えるものではない。初めて扱う高額なOEM案件や特殊な費用構造がある取引では、輸入申告直前ではなく契約前に税関や通関業者へ相談する方が安全である。
中国調達で数%の単価削減を追求しても、関税評価を誤れば追徴や社内処理のやり直しにつながる。特にオリジナル家具、特注照明、専用金物など日本側が設計・金型を提供する案件では、商品価格だけでなく「製品を作るために日本側が何を提供したか」を確認することが重要だ。調達、設計、経理、通関担当が契約時点から情報を共有することが、OEM輸入の税務・通関リスクを抑える基本となる。



