
中国で飲食店の家具や什器を製作する案件では、椅子やテーブルの品質だけでなく、食品が直接触れる可能性のある部分を早い段階で切り分ける必要がある。特にカウンター、ビュッフェ台、パン陳列ケース、ドリンク設備、容器、トレー、厨房周辺の樹脂部品などは、一般の内装材ではなく食品用器具・容器包装として食品衛生法上の規制対象になる可能性がある。厚生労働省は食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質を使用するポジティブリスト制度を設けており、2025年6月1日以降の制度に基づく確認が必要となる。
飲食店設計で起こりやすい問題は、中国工場が「食品グレード」と回答しただけで採用を決めてしまうことだ。中国国内の規格に適合していることと、日本の食品衛生法に適合していることは別である。樹脂、塗膜、接着剤、シリコーン、ゴムなどが食品と接触する場合には、材質名だけでなく、構成成分、用途、耐熱温度、食品との接触条件を確認し、日本側制度への適合性を判断する必要がある。
一方、飲食店の客席側で使う椅子、テーブル脚、壁面装飾など、通常は食品に直接触れない製品まで一律に食品衛生法の対象と考える必要はない。重要なのは、設計図上で食品接触部位と一般内装部位を分けることである。例えばビュッフェカウンターであれば、天板、食品容器、ドレン、照明、化粧パネルを別部材として整理すれば、どこに衛生規制確認が必要かが分かりやすくなる。
また、飲食店用の木製家具や合板什器では、ホルムアルデヒド、塗料臭、接着剤、清掃耐久性も実務上重要となる。厨房近辺では水分、油、洗剤にさらされるため、住宅用家具と同じ表面仕上げでは早期に膨れや剥離が起きる場合がある。中国工場へは「レストラン用」とだけ伝えるのではなく、清掃方法、使用温度、湿度、想定使用年数、耐薬品性まで仕様書に記載した方がよい。
中国製内装を飲食店へ導入する最大のポイントは、意匠性、価格、納期の三要素だけで判断しないことだ。食品に触れる部分、建築法規に関係する部分、単なる装飾部分を設計段階で分類し、それぞれ必要な資料と試験を工場へ求める。こうした整理を発注前に行えば、輸入後に部材を作り直すリスクを大きく減らせる。
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