
2026年9月5~8日、上海虹橋の国家会展中心で第58回中国家博会(上海)、CIFF上海が開催された。公式情報では今回のテーマを『設計・数智・持続可能』とし、オリジナルホームデザイン、都市アウトドア、商業・オフィス空間、スマート製造、家居建材を主要分野に設定している。展示はソファ、寝具、オフィス・商用・ホテル家具、家具生産設備、装飾品、ホームテキスタイル、アウトドア家具など家具産業の上流から下流までを広くカバーする。ホテル開発会社にとっては、完成家具だけでなく生産設備や部材まで一つの会場で比較できる点が重要である。
ホテル家具を中国から調達する場合、一般住宅家具とは評価基準を変える必要がある。客室家具は多数室へ同一仕様を納入するため、一台の完成度よりロット全体の再現性が重要になる。展示会でベッドサイドテーブルの仕上げが良くても、200室分を製造した際に色、木目、寸法、金物位置が揃うとは限らない。商談では月間生産能力、過去のホテル案件、CNC設備、塗装ライン、金物加工の内製・外注区分、量産検査方法まで確認したい。
発注仕様書では、図面だけでなく材料表と承認サンプルをセットにする。木質パネルの種類と厚み、突板樹種、塗装色、艶度、エッジ処理、金物メーカー・型番、石材、コンセントやUSB等の電装品を品番化する。ホテルでは補修対応も長期間必要になるため、予備部材や交換用金物を初回納品時に一定数量確保する方法も有効だ。特注金物が数年後に廃番となると、小さな故障でも家具一式交換が必要になる場合がある。
さらに、日本の建築物へ固定する家具ではホルムアルデヒド発散建築材料に関する確認が必要になる。国土交通省は、告示対象建築材料を使用した造り付け家具やキッチンキャビネット等も規制対象になることを明示している。中国側の環境認証を取得していても、それだけで日本のF☆☆☆☆等級として扱えるとは限らないため、設計段階で使用材料と日本側の適合根拠を確認しなければならない。
CIFFのような大型展は候補工場を短期間で増やすには有効だが、その場で大量発注を決める場所ではない。展示会で10社を候補化し、図面による相見積、工場監査、実物サンプル、モックアップルーム、量産前承認、工程中検品、出荷前検品へ絞り込むのがホテル案件では現実的である。中国の大規模な家具産業を活用しながら、日本の施工品質とホテル運営上の保守性を確保できるかが調達成功の分岐点になる。

