
中国国家統計局が2026年8月に公表した1〜7月の不動産市場統計では、全国の不動産開発投資額は4兆3009億元で前年同期比19.2%減となった。住宅投資は19.1%減、建物の新規着工面積は24.0%減、竣工面積も23.2%減だった。新築住宅、商業施設、オフィスの建設量減少は、タイル、衛生陶器、住宅設備、建具、家具、照明、内装材など広範な建材産業に影響する。
日本企業にとって重要なのは、中国の建設市場が弱いというマクロニュースそのものではなく、それが調達先工場の経営と商談条件をどう変えるかである。国内デベロッパー向けの大量受注を前提としていた工場では設備稼働率が低下し、輸出案件や小ロットOEMを重視する動きが強まる可能性がある。これまでMOQが高く日本の店舗1〜2案件では利用しにくかったメーカーでも、ホテル改装、飲食店チェーン、マンション共用部など中規模案件への対応余地が広がることが考えられる。
一方で、買い手側が「中国市場が悪いので値切れる」とだけ考えるのは危険だ。国家統計局の1〜7月工業企業統計では、木材加工業や家具製造業、非金属鉱物製品業で利益が大きく低下している。利益余力が縮小した工場では、材料グレードの変更、工程削減、外注化、前受金比率の引上げなどが起きやすくなる。数年前に取引した工場であっても、現在の人員数、設備稼働状況、主要顧客、原材料仕入先を再確認した方がよい。
特に造作家具や店舗什器では、見積金額より工程管理能力を見るべきだ。サンプル承認後の材料変更禁止、金物メーカーの指定、木口処理、塗装回数、色差基準、梱包方法を仕様書に明記し、中間検品と出荷前検品を分ける。タイルや石材ならロット差を管理し、同一案件分を一括生産させることが基本となる。
中国市場の調整は、日本の建築・内装会社にとって単純な仕入れ価格下落局面ではない。生き残るメーカーと退出するメーカーの差が広がる局面と見るべきである。今後の中国調達では、価格表の比較以上に、工場の生産継続力、輸出比率、品質管理担当者の配置、日本仕様への対応能力を評価することが重要になる。
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