
中国国家統計局が2026年8月17日に発表した1~7月の全国不動産市場統計は、中国の建材・家具・住宅設備産業を考えるうえで重要な数字を示した。不動産開発投資は4兆3009億元で前年同期比19.2%減、うち住宅投資は3兆3172億元で19.1%減だった。施工面積は55億7572万平方メートルで12.7%減、新規着工面積は2億6700万平方メートルで24.0%減、竣工面積も1億9195万平方メートルで23.2%減となった。新築商品房の販売面積は11.8%減、販売額は13.1%減で、中国の新築住宅を中心とした建設需要が依然として強い調整局面にあることが確認できる。
日本の建築会社にとって、これは中国不動産ニュースにとどまらない。佛山のタイル・衛生陶器、広東の家具、浙江の建具・金物、江蘇・上海周辺の内装材など、多くの産業集積は長年、中国国内の住宅開発需要を大きな販売先としてきた。新築需要が縮小すれば、工場側はホテル、商業施設、海外OEM、リノベーション市場など別の受注先を求める。日本向け小ロット案件への対応力が上がる工場が出る一方、受注不足による過度な価格競争や工場の経営悪化にも注意が必要になる。
調達側が確認したいのは工場の『価格』だけではない。過去12カ月の主要製品、主要顧客構成、生産ライン稼働状況、外注工程、原材料仕入先、品質管理担当者数、輸出経験をヒアリングしたい。特に造作家具では、受注した会社が木工、塗装、金物加工、石材加工を別会社へ再委託することが珍しくない。見積企業と実際の製造場所が一致するかを確認し、量産前サンプルと出荷品が同じ工程で作られるよう契約書や発注仕様書に落とし込む必要がある。
一方、中国の建築需要減少は日本企業に新しい選択肢も与える。大型住宅案件向け設備を得意としてきたメーカーが、ホテル客室家具、レストラン什器、賃貸住宅リノベーション向け建材などの海外案件へ営業を広げる可能性がある。工場の設備能力を活用できれば、国内製作ではコストが合わなかった曲面家具、金属と木の複合什器、大判セラミック加工などを検討できる。
ただし、国内需要の減速を『中国工場なら何でも安くなる』と読むべきではない。日本で使用する建材には防火、ホルムアルデヒド、電気用品、食品接触材料など用途別の規制が存在する。中国側で販売実績があることと日本で施工可能であることは別問題である。今後の中国調達では、工場の余剰生産能力を価格交渉に生かしつつ、日本仕様への適合確認と経営・品質リスクを同時に評価する姿勢が重要になる。


