
中国工場から家具や建材を輸入する際、出荷前検品を「傷があるか」「色が合っているか」だけで終えると、日本到着後に施工不能となるリスクが残る。店舗、ホテル、住宅向けの製品では、工業製品の一般的な外観検査に加え、「現場で設計通り取り付けられるか」という施工検品が必要である。
最初の基準は承認資料である。検品員へ最新の製作図、承認サンプル、材料表、発注数量を渡す。古い図面で検品すると、工場が正しい最新版を製造していても不合格判定になることがあるため、図面にはRevision番号と承認日を付ける。工場、日本側担当者、検品会社が同じ版を使用することが基本だ。
家具では外形寸法だけでなく、取付穴、配線穴、巾木逃げ、金物位置を測定する。扉は実際に開閉し、引き出しは荷重を想定して動作を確認する。照明組み込み家具では点灯試験を行い、電源装置、コネクター、ケーブルの数量も数える。左右勝手がある製品はラベルと図面を照合する。
タイルや石材では数量、寸法、厚さ、色、欠けだけでなく、ロット番号を確認する。同一空間へ施工する製品が複数ロットに分かれている場合は、施工後に色差が目立つ可能性がある。天然石では代表的な板を並べ、柄のばらつきを写真で記録する方法が有効だ。
検品で忘れられやすいのが梱包である。製品が合格でも、梱包が弱ければ海上輸送中に破損する。梱包後寸法、重量、箱番号、製品番号を記録し、Packing Listと一致させる。木枠や木製パレットを使用する場合は、ISPM15に適合した処理・表示がされているかも確認する。日本の植物防疫所は輸入木材こん包材について国際基準第15に適合した消毒と表示を求める制度を運用している。
不具合が見つかった場合は「修正してください」で終わらせず、不良番号、写真、修正方法、再検査結果を記録する。重大不良は船積み前に再検査し、修正確認前に残金を支払わない契約設計も検討できる。
中国調達の品質管理で重要なのは、検品率だけではない。日本の施工者が必要とする情報を検品項目へ変換することである。出荷前に30分余計に寸法を測ることが、日本で家具を作り直す数週間を防ぐことにつながる。
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