
中国の家具・建材メーカーでは、ホテル向けにベッドヘッド、ナイトテーブル、デスク、ソファ、収納、ミラー、照明、洗面台などを一括提案する企業が増えている。2026年9月のCIFF上海でも、ホテル、文化観光、商業空間などのプロジェクトバイヤーを対象とした家具・建材・商業空間の展示が大きく扱われた。日本のホテル開発会社や設計施工会社にとって、中国調達の最大の利点は単価の安さだけでなく、多品種を一つのサプライチェーンでまとめられる点にある。
ホテル案件では、家具を品目別に比較するより「標準客室1室当たり」でコストを組む方が管理しやすい。例えばツインルーム一室について、ヘッドボード、ベッドサイドテーブル、デスク、椅子、テレビボード、クローゼット、ミラー、照明を一つのパッケージとして数量化し、客室数を掛ける。その上でロビー、レストラン、廊下、バックヤードを別パッケージに分けると、設計変更が発生した際にもコスト差を把握しやすい。
重要なのは、ホテル家具が一般家庭用家具より厳しい使用条件に置かれることだ。不特定多数が毎日使用し、清掃回数も多い。椅子の脚部、引き出しレール、ヒンジ、天板エッジ、塗装面、張地は、短期間で劣化すると交換コストが大きい。中国工場へは外観サンプルだけでなく、金物メーカー、表面材、板厚、接着剤、塗装工程、張地の摩耗性能まで確認し、量産仕様を固定する必要がある。
照明や電装家具を同時輸入する場合は、日本の電気用品安全法の対象となる可能性がある。中国側でCEやCCCを取得していても、それだけで日本販売・使用に必要な条件を満たすとは限らない。また、壁や天井に固定する仕上材については防火材料認定やホルムアルデヒド規制の確認が必要になる場合があるため、FF&Eと建築材料を同じ基準で扱ってはいけない。
物流面では、ホテル案件は体積が大きく40HQを複数本使用することが多い。客室番号ごとに梱包番号を付け、現場フロア別に荷降ろしできるようパッキングリストを設計すると、国内搬入後の仕分け作業を減らせる。ホテル内装の中国調達を成功させるには、工場価格ではなく、客室単位の原価、法規適合、交換部品、予備品、現場搬入まで含めて管理することが重要だ。
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