
中国でレストラン内装を一括製作すると、テーブル、椅子、カウンター、棚だけでなく、トレー、食器、調理器具、食品保存容器などを同じコンテナへ積むケースがある。しかし日本への輸入では、内装材と食品に直接接触する器具を同じ感覚で扱ってはいけない。食品衛生法では、飲食器、割ぽう具など食品または添加物に直接接触する機械・器具等を『器具』として定義している。販売または営業上使用する食品、器具、容器包装などを輸入する場合、同法に基づく輸入届出が必要となる。
厚生労働省の輸入手続案内では、対象となる食品等について輸入者が検疫所へ届出を行い、食品衛生監視員が適法性や検査の要否を審査すると説明している。届出を行わない対象品は販売または営業上使用できない。初回輸入時などには必要に応じて検査が行われるため、レストラン開業直前に初めて確認すると、貨物が到着しているのに厨房備品を使用できないという工程上の問題につながりかねない。
実務では中国への発注書を『内装・家具』と『食品接触品』に分けるのが安全だ。テーブル脚、客席椅子、装飾棚などと、皿、カップ、トレー、包丁、まな板、食品保存容器などを品番レベルで区別する。カウンターでも、単なる家具部分と食品に直接接触する部材では確認事項が変わる可能性がある。材質、表面処理、使用温度、食品への接触の有無を製品リストに記載し、輸入前に検疫所や通関業者へ確認できる状態を作っておく。
特に中国OEMでは『ステンレス製』『メラミン製』『シリコーン製』という営業上の呼称だけで発注しないことが重要だ。材質の詳細、樹脂の種類、着色剤、コーティング、接着剤など、必要な情報を工場から入手する。日本側で試験が必要になった場合に備え、製造者名、工場所在地、品番、材質表、製造工程、サンプルを量産前から管理する。飲食店施工会社が輸入者になる場合は、設計担当だけでなく通関担当も発注前の仕様確認へ参加させたい。
なお、輸入手続には事前届出制度があり、厚生労働省は貨物到着予定日の7日前から受け付けるとしている。条件によって到着前に届出済証が交付される場合もある。開業日が動かせない飲食店では、この事前準備の価値が大きい。中国から『家具一式』として安く購入できても、日本で営業に使用できなければ意味がない。内装、厨房、食品接触器具を法規上の区分で整理し、発注前から輸入手続きを工程表へ組み込むことが、中国製レストラン什器を安全に採用する基本となる。


