
中国のドア、サッシ、ガラス、建築金物は佛山、広東、浙江などに大きな産業集積があり、ホテル、店舗、住宅向けに多様な製品を調達できる。特にハンドル、丁番、引戸金物、ガラス金物などは日本製と比較して価格差が出やすい。一方、建物の外皮や避難、防火に関係する製品は「寸法が合う」「中国で試験済み」という理由だけでは日本案件へ採用できない。
窓を例にすると、設計上必要なのは開口寸法だけではない。風圧、水密、気密、断熱、遮音、ガラス仕様、取付方法などを建物条件に合わせる必要がある。高層ホテルの外窓と低層店舗の室内窓では要求性能が全く違う。防火設備に該当する開口部では日本の建築基準法上の適合確認が不可欠で、中国国内の耐火試験をそのまま日本の認定として扱うことはできない。
金物についても同様で、見た目が同じ丁番でも扉重量、使用頻度、開閉角度によって必要性能が変わる。ホテル客室や飲食店のトイレなど高頻度で使用する場所では、住宅用金物を採用すると早期にがたつきが生じることがある。発注時には最大扉重量、想定開閉回数、材質、表面処理、塩害環境への適性などを確認する。
中国OEMで特に注意したいのが仕様変更である。ハンドルや丁番は外観が同じでも内部構造や材料を変更しやすい。承認サンプルを保管し、量産時にはメーカー、型番、材質を固定する。ホテルなど将来交換が必要な案件では、完成品だけでなく予備のシリンダー、ハンドル、丁番、戸車を初回納品時に確保しておくとよい。
中国製ドア・窓・金物を使う価値は、設計自由度と価格にある。しかし設計者が中国カタログから商品を選び、後から日本の施工会社に適合性を確認させる方式では手戻りが多い。最初に日本側の要求性能表を作り、それを満たす製品を中国で探す順序に変えるべきだ。中国調達では「中国に何があるか」から始めるのではなく、「日本の建物で何が必要か」を定義してからメーカーを選ぶことが成功率を高める。




