
中国国家市場監督管理総局が進めるグリーン建材認証では、建築用ドア・窓も認証対象分野に含まれており、中国国内では省エネルギー性能やライフサイクルを意識した建具市場が拡大している。上海の2026年CIFF・中国建博会でも家具と建材を一体化した展示が行われ、木製ドア、アルミ建具、金物、全屋定制を同一サプライチェーンで提案する動きが強まっている。
日本の住宅、ホテル、店舗案件で中国製ドアや金物を採用する場合、価格と寸法だけで発注するのは危険である。建具は開閉回数が多く、扉本体より丁番、錠前、クローザー、戸車などの部品寿命が先に来る。中国独自寸法の金物を組み込むと、数年後に故障した際、日本で互換品を入手できず扉全体を交換することになりかねない。
そのため、ホテル客室など大量採用する案件では金物メーカーと型番を先に決め、扉工場にはその金物を前提に加工させる方法が安全だ。交換部品を一定数量同時輸入する方法もある。カードロックや電気錠を組み込む場合は、電源、通信方式、国内保守体制まで確認する必要がある。
さらに、防火戸、防火設備、外部開口部など建築法規上の性能が要求される箇所では、中国国内の試験成績や「防火ドア」という商品名称だけで日本の要求を満たすとは判断できない。国土交通省は建築基準法に基づく構造方法等の大臣認定情報を公開しており、指定材料や防火関連製品は認定仕様との一致が重要になる。認定品を採用する場合は、構成材料や厚さを工場判断で変更させない管理も必要だ。
中国建具の利点は、特殊寸法、突板、塗装、金属装飾などを一体加工できる点にある。日本の設計者はその加工力を意匠部分に利用しつつ、安全・防火・保守に関わる部品を日本仕様で固定する「ハイブリッド調達」を検討するとよい。製品価格だけでなく、10年間交換できるかという視点がホテル・集合住宅では特に重要である。




