
中国国家統計局によると、2026年1~7月の全国飲食収入は3兆2822億元で前年同期比2.6%増、7月単月も4567億元で1.4%増となった。家具や建築装飾材料の小売が前年割れとなる中、飲食はプラスを維持している。中国の内装市場を見るうえで、住宅向け建材の弱さと店舗・サービス空間の需要を分けて考える必要がある。
もっとも、飲食市場が拡大しているからといって、豪華な大型店の内装投資が一律に増えているわけではない。上海市の統計では1~7月の一定規模以上企業の餐費収入は812.13億元で前年同期比0.3%減だった。一方、広州では7月28日から8月31日まで「食在広州」の飲食消費券施策が実施された。地域ごとに消費環境が異なり、事業者側では初期投資を抑えながら写真映え、回転率、清掃性、短工期を両立する内装が重要になっている。
日本の飲食店施工会社が中国製品を利用する場合、調達効果が出やすいのは客席家具、ベンチシート、テーブル天板、装飾照明、金属装飾、壁面パネル、人工石、タイル、サイン周辺である。特に造作家具は図面から量産できるため、多店舗展開で仕様を共通化すればコストメリットが出やすい。一方、厨房機器や電気製品は日本側の安全規制、電圧、周波数、給排水接続、メンテナンス体制を確認しなければならない。
飲食店では一般家具以上に「清掃後の状態」を評価する必要がある。張地の耐薬品性、テーブル天板の耐熱・耐汚染性、金属塗装の剥離、木口からの吸水、椅子のぐらつきなどをサンプル段階で試験するべきだ。中国工場のショールームで美しく見えても、日本の高頻度営業で同じ状態を維持できるとは限らない。また、ベンチシートは現場寸法の誤差を吸収できる見切り材やフィラーを設計しておくと施工トラブルを減らせる。
中国の飲食市場は、内装メーカーにとって実験場でもある。新しい素材、照明演出、組立式家具、短工期施工などを現地店舗で確認し、日本案件へ応用できる。ただし流行をコピーするのではなく、日本の消防・建築・衛生条件、客席寸法、施工方法へ置き換えることが必要だ。飲食店向け中国調達では、デザイン性、単価、耐久性、清掃性、交換部品の五項目を同時に評価することが実務上の基本となる。


