
2026年9月5~8日に上海・国家会展中心で開催された中国家博会(上海、CIFF上海)は、「設計・数智・可持続」をテーマに、家具だけでなく商業・オフィス空間、スマート製造、家居建材までを横断的に扱った。公式情報では、オリジナルデザイン、都市アウトドア、商業・オフィス空間、スマート製造、家居建材が主要テーマとして位置付けられている。日本の店舗設計・内装会社にとって重要なのは、中国の家具展示会が単品家具の買い付け会から「空間を構成する部材をまとめて探す場所」へ変化している点だ。
従来、中国調達ではソファは佛山、照明は中山、造作家具は東莞、タイルは佛山といった産地別の探索が中心だった。価格競争力は高いが、店舗一件分を調達すると色、木目、金属仕上げ、照明色温度、寸法公差がメーカーごとにばらつく問題が起きやすい。展示会で完成空間として確認できれば、家具と内装材の組み合わせ、照明下での素材の見え方、金物の操作感、張地と木部の納まりまで一度に評価できる。
ただし、展示品を見てそのまま日本案件へ採用するのは危険である。店舗では不燃・準不燃材料、電気設備、避難安全、内装制限など案件ごとの法規確認が必要になる。特に壁面パネル、天井材、造作家具、照明を一体で輸入すると、中国側では一つの空間商品でも、日本の輸入・施工段階では複数の法規とHS分類に分かれる場合がある。設計段階で「意匠承認」と「日本使用可否」を別のチェック欄にするべきだ。
実務では展示会で価格を聞く前に、工場所在地、最低発注量、図面対応形式、試作費、量産期間、輸出梱包、補修部材の供給条件を確認したい。さらに店舗案件では開業日が動かせないため、納期遅延時の航空便切替や国内代替品まで想定する必要がある。中国製品のメリットは単価だけではなく、造作家具、金物、照明、装飾材を設計意図に合わせてカスタマイズできる点にある。
日本の店舗設計会社がCIFFのような展示会を活用する場合、買付担当だけでなく設計者または施工管理者が同行し、納まりと施工性を現物で確認することが効果的だ。中国調達を「安い家具を探す仕事」から「設計仕様を実現できるサプライチェーンを構築する仕事」へ変えることが、商業空間で中国製品を安定して使う条件になる。



