
中国国家統計局によると、2026年1~7月の全国不動産開発投資は4兆3009億元で前年同期比19.2%減となった。住宅投資は3兆3172億元で19.1%減、施工面積は12.7%減、新規着工面積は24.0%減、竣工面積は23.2%減である。新築量を基準に建材需要を見る限り、中国建築市場は引き続き厳しい。しかし、数量減少だけを見ていると、今後の建材・設備需要の変化を読み違える可能性がある。
広州市住房和城郷建設局は7月に「広州市好房子評価標準(試行)」を公表し、安全耐久、生活利便、全齢対応、環境配慮、可変性、グリーン・低炭素、スマート・高効率などの観点から住宅品質を評価する仕組みを示した。さらに8月21日には、新築・建設中の商品住宅、保障性住宅、安置住宅を対象として第二次試点プロジェクトの募集を開始した。評価は基本級、一星級、二星級、三星級に分け、技術要求を施工図へ反映することを求めている。
これは中国の住宅市場が「何戸建てるか」から「どの性能で建てるか」へ政策軸を移していることを示す。日本企業が注目すべき製品は、高断熱窓、遮音建材、低放散内装材、省エネ設備、スマート照明、収納、可変間仕切り、高齢者対応金物、節水設備などである。中国メーカー側でも、単純な大量生産品より性能値や試験データを提示できる製品の重要性が高まる。
一方、日本へ中国製品を輸入する場合、中国国内の「好房子」対応やGB規格適合をそのまま日本での使用可否と考えてはいけない。建築基準法、防火・シックハウス規制、電気用品安全法、JIS・JAS、個別の大臣認定など、日本側の用途に応じた確認が別途必要になる。中国で高性能と評価されていることと、日本の確認申請で使用できることは別問題である。
設計事務所やデベロッパーにとって、中国の建設量減少は調達機会の消滅を意味しない。むしろ住宅品質向上政策によって、メーカーが性能資料、デジタル設計データ、環境情報を整備する方向へ進めば、日本側も調達候補を比較しやすくなる。中国建築市場を見る際は、着工面積だけでなく「高品質住宅化によって何の部材が増えるか」を追うことが重要である。


