
中国からホテル、住宅、飲食店向けの洗面器、便器などを輸入する際、陶磁製衛生設備の代表的な分類がHS69.10である。税関の2026年実行関税率表では、磁器製のHS6910.10とその他のHS6910.90はいずれも一般税率・WTO税率とも無税として掲載されている。したがって対象商品がこの分類に該当する場合、RCEPによる関税削減だけを目的に原産地証明を取得する経済的効果は生じないケースがある。まず通常税率を確認してからEPA利用の必要性を判断するのが基本だ。
しかし、水回り製品では関税より製品仕様の確認がはるかに重要である。中国国内向け製品を写真と寸法だけで購入すると、給排水位置、排水径、取付穴、壁からの離隔、固定方法などが日本の現場条件と合わない可能性がある。洗面ボウルなら水栓穴の有無やオーバーフロー、カウンターとの納まり、便器なら排水方式と施工寸法を発注前に図面で確認する。設計図へメーカーの施工寸法を反映し、現場側が承認してから製造する流れが必要だ。
水栓、電気温水機能、センサー、照明付きミラーなどがセットになると、確認すべき規制やHS分類も変わり得る。陶磁器本体が無税だから「水回り一式が同じ扱い」と考えてはいけない。複数製品をセット購入する場合も、インボイス上で品名、材質、数量、単価を明確にしておくと通関時の分類確認がしやすい。
ホテルや賃貸住宅では交換部品も重要である。便座、ヒンジ、排水金具、ゴム部品などは本体より早く交換が必要になることがあるため、予備部品を同時輸入するか、数年後も供給可能か確認する。中国製品の採用可否は初期価格だけでなく、施工時の適合性と運営期間中のメンテナンス費を含めて判断すべきだ。
中国の衛生陶器はデザイン選択肢が広いが、日本仕様への変換は輸入者側の仕事になる。HS分類、図面、施工条件、交換部品を発注前に整理することが、水回り設備を価格競争力のある調達品に変える条件である。



