
中国の佛山、広州、浙江などにはキッチンキャビネット、洗面化粧台、水栓、シンク、鏡、照明、収納金物を一括供給するメーカーが多く、日本の住宅やホテルでも「水回り一式」をOEM調達することが可能である。しかし輸入実務では、一つのセット商品として考えるより、構成部品ごとに法令と品質要求を分ける方が安全である。
例えばキッチンキャビネット本体に合板、MDF、パーティクルボードなど告示対象建築材料を使用する場合、日本の建築基準法によるホルムアルデヒド対策を確認する必要がある。国土交通省は造り付け家具やキッチンキャビネット等についても、告示対象建築材料を使用した製品は規制対象になることを明示している。中国工場から完成品のホルムアルデヒド試験だけを入手するのではなく、使用基材と接着剤まで確認することが重要だ。
一方、照明付きミラー、電源ユニット、コンセントなどを組み込む場合は電気用品安全法の対象判定が必要になる。さらに食品に直接接触する器具や容器包装については食品衛生法が関係する。厚生労働省は、有毒・有害な物質を含み、食品に有害な影響を与えるおそれがある器具・容器包装について、販売目的の製造・輸入等を禁止している。つまりキッチンという一つの案件の中でも法令体系が複数存在する。
発注実務では、キャビネット、天板、シンク、水栓、排水部材、照明、電源、金物をBOMで分け、それぞれ材質、メーカー、型番、規格を記録する。ホテル案件なら交換頻度の高い水栓カートリッジ、排水部品、丁番などを予備品として同時輸入しておく方法も有効である。中国専用規格の部品を使うと、日本で数年後に交換できないことがあるためだ。
水回り設備は初期購入価格より、漏水や電気不良が発生した場合の損害が大きい。中国OEMの価格優位性を生かすには、「一式いくら」ではなく、構成部品単位で法規・品質・補修性を確認することが重要になる。



