
中国国家統計局によると、2026年1〜7月の全国不動産開発投資は4兆3009億元で前年同期比19.2%減、うち住宅投資は3兆3172億元で19.1%減となった。建物の新規着工面積は2億6700万平方メートルで24.0%減、住宅は24.6%減。完成面積も23.2%減少した。中国の建材市場を考えるうえで、新築住宅を大量供給する従来型モデルが依然として厳しい環境にあることを示す重要な数字だ。
ただし、日本の建築・内装企業がこの統計から「中国建材産業全体が縮小している」と結論付けるのは早い。新築躯体工事と、店舗・ホテル・住宅の改修、家具、設備更新では需要構造が異なるからだ。中国の工場にとって国内新築住宅向け大量ロットが減れば、輸出、リノベーション、ホテル、商業施設、オーダー家具など別市場への販売強化が重要になる。日本企業にとっては、これまで国内大手デベロッパー向けを中心としていた工場にOEMや小ロット案件を相談できる余地が生まれる可能性がある。
一方で工場選定では生産能力の大きさだけを評価してはいけない。需要減少局面では、売上低下による資金繰り悪化、部材仕入先変更、人員削減、外注比率上昇が品質や納期に波及する場合がある。発注前には営業担当者との価格交渉だけでなく、工場の稼働状況、主要設備、工程内検査、外注工程、原材料在庫、直近の輸出実績を確認したい。大型造作家具では、前払金を高くし過ぎず、試作承認、生産開始、中間検品、出荷前検品など工程に応じた支払い条件を組むこともリスク管理になる。
中国市場の縮小は日本の買い手に値下げ機会を与える一方、供給者の経営リスクも高める。価格だけで工場を選ぶのではなく、「安定して最後まで作れる会社か」を調達条件に入れる必要がある。ホテル、飲食店、商業施設のように開業日が固定された案件では、数%の仕入れ差より納期遅延の損失が大きい。中国不動産統計は建築需要の指標であると同時に、サプライヤー審査を強化すべきシグナルとして読む価値がある。


