
中国で造作家具を製作し日本の店舗やホテルへ輸入する案件では、工場の加工技術以上に「仕様を固定する仕組み」が品質を左右する。既製家具と違い、カウンター、壁面収納、ヘッドボード、ミニバー、什器などは建築図面と現場寸法に連動するため、数ミリから数センチの誤差でも施工不能になる可能性がある。発注前に日本側と中国側の責任範囲を明確にする必要がある。
第一に確認するのは承認図である。意匠図だけで発注せず、幅、高さ、奥行き、板厚、開口、設備位置、分割方法、接合部を示した製作図を工場から提出させる。第二に材料表を作り、基材、突板、メラミン、塗装、石材、ガラス、金物、接着剤を特定する。第三に色と艶を実物サンプルで承認し、写真だけで決定しない。モニター表示では色差を管理できないためだ。
第四は金物で、丁番、レール、鍵、アジャスターなどのメーカーと型番を固定する。第五は電気部品で、家具組込み照明やコンセントを含む場合、日本の法令適用を別途確認する。第六はホルムアルデヒドで、造り付け家具に使用する告示対象建築材料は建築基準法のシックハウス規制との関係を確認する。中国国内向け環境等級だけで日本の適合性を判断してはいけない。
第七は量産前サンプル、第八は出荷前検品である。量産初期品を確認してから全数生産へ進み、完成後は寸法、外観、数量、機能を検査する。第九は梱包。部材番号を製作図と一致させ、箱外側に部屋番号や什器番号を表示すると日本での荷分けが容易になる。第十は取付情報で、壁固定方法、下地位置、現場接合、調整代を事前に施工会社へ渡す。
中国工場のメリットは加工能力と価格競争力だが、日本の現場で再加工が発生すればメリットは簡単に失われる。設計、製造、物流、施工を一つの工程として管理し、承認図とサンプルを契約上の品質基準にすることが重要である。



